【3/3】サブカル好きの現代歌人!?伊波真人さん「短歌をエンターテインメントのひとつに」

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中野ブロードウェイは伊波さんのお気に入りの場所の一つ。

 

※前回の記事はコチラ

 

 

“どこへでもつながってると知ってから線路を星を見るように見る”

――『冬の星図』より

 

短歌を知ってもらうきっかけになりたい

 

―今後の短歌界について、お伺いしたいと思います。角川短歌賞受賞のコメントにて、短歌は「生活に寄り添い、もっとたくさんの人に楽しんでもらえる存在」だと仰っていましたが、具体的にどのような在り方が考えられるでしょうか?

 

短歌って、本質的には純文学だと思うんですよ。だから結局は、自分で自分の表現を追求していくしかない。その上で、現状として、短歌は短歌界の人以外にはあまり読まれていない、というのがある。短歌は本当に面白いのに、もったいない。短歌界の人以外にも、短歌を読んでもらいたいんですよ。

 

だけど、短歌界の中で「読んでください」と言っていても、外の人には届かないので……僕が漫画を通して短歌に興味を持ったように、接点を作るしかないのかな、と思っています。

 

短歌と同様に純文学も読まれにくい状況ですが、芥川賞を受賞された又吉直樹さんや羽田圭介さんのように、きっかけがあれば興味を持ってもらえる。短歌誌という場も大事にしていきたいと思っていますが、その一方で僕は、短歌誌以外のメディアにも短歌を寄稿したり、顔を出していきたいと思っています。

 

まずは僕のことに興味を持ってもらって、それをきっかけに短歌に興味を持ってもらえればいいなと。そのなかで、作詞など、他ジャンルの言語表現にも取り組んでいきたいですね。

 

 

―実際にどのような取り組みをされていますか?

 

実は、去年から雑誌(※季刊誌『波』)で音楽をテーマにしたコラムの連載が始まりまして。僕が音楽を紹介して、それについてコラムを書いて、短歌を添えるっていう連載です。そういう場をもっと増やしていきたいですね。

 

しかしですね! 主軸は短歌なので、そこはブレないように……いつか自分の表現を確立することを目指して、歌壇という場も大事にしつつ、短歌はこつこつと一生続けていきたいと思っています。

 

 

―「短歌をよく知らない人もいいなと思えて、歌壇などでも評価される」ような短歌は、可能でしょうか?

 

可能だと思います。僕もまさにそこを目指してはいますね。ただ、受け手に合わせてつくるんじゃなくて、ただ自分がつくりたいものをつくる、それが受け入れられるのが一番いいかたちかなと思います。結局、「個人的なもの」が普遍性、ポピュラリティにつながってくるんですよね。

 

歌詞でも、すごく個人的なことについて書いてあっても、自分の状況に置き換えて共感したりできるじゃないですか。そういうのが短歌にもあるのかなって。だから、自分は自分の表現を追求したいですね。

 

 

―人に伝わるように、言葉選びなどの技術面では工夫されていますか?

 

僕の場合アプローチが逆で、もともとわかりやすい言葉とか親しみやすい言葉が自分の感覚に合っているので、結果として僕の表現はポピュラリティに近くて、受け入れられやすさを持っているのかな、と。だからこそ、僕が短歌を多くの人に知ってもらう活動をすることに意義があると感じています。

 

短歌をエンターテインメントのひとつに

 

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ずらりと並んだ映画ポスターにご満悦の伊波さん。

 

―本格的に短歌に取り組む歌人の方がいる一方で、趣味として気軽に短歌を詠んでいる方もいます。

 

いま、ネットで短歌がすごく盛んですよね。140文字制限が短歌と相性が良いのか、Twitterに若い人がたくさん短歌を載せている。それを見た若い人がまた、面白そうだと思って作り始める……良い連鎖が起きているんじゃないでしょうか。短歌に触れるきっかけをつくるという面ですごく良いと思います。その上で本格的に短歌を続けていくとなったら、勉強なども必要になってきますが。

 

ネット短歌と歌壇と、どっちが偉いとか優劣をつけるんじゃなくて、一緒に楽しめばいいと思います。歌壇の中には歌壇的な歌のよさっていうのがあるので、そっちにも目を向けてくれると面白いんじゃないかな。

 

 

―歌人・青木麦生さんの「町の中に短歌を貼りつける」というインスタレーションなど、変わったかたちで短歌を発表されている方もいます。伊波さんは、そういう活動にご興味はありますか?

 

エンターテインメントですよね。僕は、短歌は純文学でありながら、エンターテインメントの一つとしても捉えてもらいたいと思っています。

 

いまの若い人は、音楽とか映画とかには積極的に触れるじゃないですか。そのときに、短歌も選択肢に加えてほしいんですね。「ちょっと歌集読もうかな」、みたいな。そうなると面白いなって。