【前編】今世は自分のやれることを 成宮アイコさん 「朗読詩集」出版までの道のりと、これから

4年間という月日は彼女をどう変化させ、成長させたのだろう――。

 

2015年、新宿の喫茶店で、とある女性にインタビューを行った。成宮アイコさんだ。時を経て2019年、同じように新宿の喫茶店で、彼女は取材に応じてくれた。

 

この4年の間に、継続して行っている詩作やイベント出演のほか、コラムの連載、メディア出演、さらにはエッセイ集の出版など活動の幅を広げてきた成宮さん。

 

2019年8月には、新刊『伝説にならないで ハロー言葉、 あなたがひとりで打ち込んだ文字はわたしたちの目に見えている』(皓星社)を刊行した。

 

 

当時と何ひとつ変わらない笑顔やたたずまいで、成宮さんは新刊の内容や創作方法、そして「地続き」「水面」と表現する人との繋がりについて語ってくれた。

 

あなたにとってのイトーヨーカドーは?

 

ーー前回に続いて新宿でのインタビューですね。

 

もう何年前でしたっけ?……一冊目(『あなたとわたしのドキュメンタリー 死ぬな、終わらせるな、死ぬな』書肆侃侃房)が出るよりも前でしたね。

 

 

――最近、体調はいかがですか? 以前インタビューさせていただいたときから変化などは?

 

元気です。波があるのは変わらないですが、やり過ごし方は増えました。

 

 

ーーそれは何よりです。早速、新刊『伝説にならないで』について聞かせてください。作品のなかで『環状七号線で拾った希望』が印象に残りました。一人称が「僕」になっていたのはどういう意図なのでしょう。

 

実際にまわりにいる人へ当て書きをするのが自分のなかで流行っていたときがあったんです。この作品は、一緒にライブをまわることが多いシンガーソングライターの青山祐己さんに当て書きをしたんです。

 

 

――だから一人称が「僕」だったのですね。当て書きが流行っていたというのはなぜ?

 

自分と他人のエピソードが、どちらかわからなくなる感覚がとても好きで。「あ、その気持ちわかるなぁ」って思えたときに、その人の人生が他人事ではなくなる瞬間があるんです。世界が地続きであることが感じられるのが面白くって。

 

「あなたのドキュメンタリー」っていう詩もそう。学校にあまり馴染めなかった私は、学校に行くふりをして地元のイトーヨーカドー丸大新潟店へよく行ってました。そしてベンチに座って、一人で過ごしていたんです。そこだったら同級生に会わないから。

 

「あなたのドキュメンタリー」は、「あなたにとってのイトーヨーカドーの椅子みたいな場所ってどこですか?」っていうエピソードを集めて書いたんです。

 

同じように、「その足元にまでも」という詩は、「忘れたいくらいツライけど、それがあるから今の自分につながっている出来事はありますか?」っていう質問をしてつくりました。

 

気持ちの断片が集まり作品になる

 

ーー創作はどのような方法で行うのでしょうか。

 

そもそも詩を書いているという意識じゃないんです。私は自分の声がコンプレックスで、人と会話ができない時代があって。そのときに会話の代替として、気持ちの断片を誰にでもなく話しかける気持ちで書き溜めていました。

 

それが今も続いていて、テレビを見てるときもドライヤーをかけてるときも、考え事が一日中頭のなかで音声になっていて。それを拾い集めて、並べ替えたりしてひとつにまとめています。「よし、書くぞ!」っていう気持ちで机に向かうことはないかもしれないです。

 

 

ーー気持ちの断片を書き溜めてつなぎ合わせる……なかなか大変そうですね。

 

会話だと、自分の気持ちや考えを伝えることがうまくできなくて。長文のコラムを書くときも、1行目から順番には書いていないんです。頭にちらばっている点を一個ずつ書き出して、こういう順番にすればわかりやすいかな、みたいに並べています。

 

多分、順番に書けていたら会話でもうまくいっているかもしれない。会話だと支離滅裂になっちゃうんです。

 

 

ーー「孤独をえらぶ癖は花火の燃えかすに似ている」も印象に残りました。イヤホン半分こにして、という表現から恋人を連想したのですが、このときの状況や相手の設定はあるのでしょうか。

 

これは、亡くなった友達の女の子の話です。初めてできた双子のような友達でした。その子のことがやっぱりいつも心にあるから、新刊のなかにも形を変えて何回も出てきます。

 

私は楽しい空想力とか自己表現欲求があるわけではないので、実際にあったことばっかりなんです。

 

 

ーーまさにドキュメンタリーなのですね……。