【第1回】世界のバックパッカーに聞く!「ねえ、何の本持ってきた?」in ラオス

物や情報が溢れかえる現代社会。一方、少ない物で豊かに暮らすミニマリストという生き方も選択肢の一つとして定着しつつある。しかし今も昔も、究極のミニマリストと言える存在は変わらない。鞄一つで世界中を旅する、バックパッカーたちである。

 

そんな究極のミニマリストの彼らであっても、きっと1冊くらいは本を持っているのではないだろうか? そして重たくかさばる紙の本をわざわざ持ち運んでいるからには、きっとその本に何かしらの思い入れがあるのではないか? そこを紐解けば、現代における本や文学の持つ価値を見つけ出せるに違いない。

 

この仮説を元に筆者は2019年10月、日本を飛び出して世界のバックパッカーにインタビューを行う旅に出た。辿り着いたのはラオス人民民主共和国。タイとベトナムの間に位置する、東南アジアの一国だ。首都ヴィエンチャンにはメコン川がゆったりと流れ、そこに暮らす人々も穏やかでのんびりとしている。

 

ラオスにとって日本は最大の援助国であり、街中で日本の国旗を見かけることも多い。バスの車体には「日本国民から寄贈」の文字。

 

インタビューの舞台は、メコン川沿いにそびえ立つ「アリ・ホテル」。テラスからは朝夕太陽にきらめく水面はもちろん、ナイト・マーケットの賑わいも一望できる。

 

この立地でありながら、ドミトリー・ルーム(相部屋)は朝食付きで1泊約460円と格安だ。そのため世界中からバックパッカーが集まり、中には3ヶ月以上の長期滞在者もいる。

 

筆者はここに10/2から10/14まで滞在し、5人のバックパッカーにインタビューを行った。順に紹介しよう。

 

目次

1人目:リア(18歳/ドイツ・マインツ)

 

旅先で拾った石でネックレスを作るのが趣味のリア。筆者にも1つくれた。

 

「高校を卒業した後、幼馴染のマーリーンと一緒に旅に出ました。ベトナム、ラオス、カンボジア、タイを3ヶ月旅行しています。世界を見てから、来年の1月にドイツへ帰って就職するつもりです」

 

持ってきた本

『Die Kuh, die weinte』Ajahn Brahm著 

※日本語版なし

タイトルは「泣いた牛」を意味する。イギリス系オーストラリア人の仏教僧アヤン・ブラームによって書かれた、楽しく学べる仏教入門書。愛、希望、幸福、そして苦しみの克服について書かれた108編の物語を収録。

 

「故郷を出発する前に友達がくれました。今は半分くらい読んだところです。飛行機の待ち時間などに読むことが多いですね」

 

扉ページには友人からリアへのメッセージが書かれていた。大切なもののような気がして、写真を撮ることははばかられた。

 

「一番気に入っているのはこのページです。9歳の男の子が書いた詩で、“痛みが精神を強くする”という内容です。仏教に興味があるので、学びたくて読んでいます」

 

旅のお供に友人がくれたこの本。きっと彼女にとって、人生のお供にもなるに違いない。

 

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