【前編】『月に吠えらんねえ』清家雪子先生も登場!石川近代文学館「うたえ!□街の住人たち」

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石川近代文学館で11月29日まで開催された企画展、「うたえ!□街の仲間たち!」。この企画展では、月刊アフタヌーン(講談社)で連載中の漫画『月に吠えらんねえ』の出力原画や、主要登場人物のモデルとなった作家たちの文学資料が数多く展示されており、話題となった。

 

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10月24日には、清家雪子先生のサイン会とトークイベントが開催された。清家先生がファンの前に初めて登場する貴重な機会!そして全国から熱いファンが集結するであろう記念すべき日!!このチャンスを逃すわけにはいかない!!

 

ということで、月吠え愛読者ライター・ささ山は金沢に行ってきた。

 

展示の裏側にある汗と涙…

 

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イベント前日の10月23日、前夜祭として学芸員・Oさんが展示の解説・案内を行う「ギャラリートーク」が開かれた。参加者は約30名(もちろん、ささ山も参加した)。会場である2階の展示室前の廊下には、すでに萩原朔太郎の初版本や、清家先生直筆の色紙が展示されている。展示品の数が多いため、展示室内におさまりきらなかったとのこと!

 

Oさんによると、今回の企画展開催のカギは、昨年5月~9月にかけて行われた企画展、「『月に吠えらんねえ』刊行記念 室生犀星と□街の仲間たち」の反響の大きさにあったという。

 

小規模ながら全国の熱いファンが集結し、アンケートにはびっしりと思いを綴るファンが続出。ファンの声援を直に受けて、もっと規模を大きくしようと予算を取り付けるべく大奮闘。その結果、規模を拡大した今回の展示に至ったそうだ。

 

ファンの皆さんが思いを惜しみなく届けたこと、それをしかと受け取った石川近代文学館様の情熱があっての本イベント……まだ展示室に入る前なのに筆者の涙腺は刺激される。

 

展示室の中に入ると、壁には『月に吠えらんねえ』の原画を発見!と思いきや、「出力原画」と書かれている。Oさん、「出力原画」とはなんですか?!

 

「清家先生はパソコンで作画をされているんです。だから紙の原画というものは存在しないんですよ」

 

なるほど……!展示されている原稿は、編集担当を介してデータを借り、実際の原稿と同じサイズで出力したもの。さらに写植(台詞の活字化)は学芸員さんたちの手作業という涙ぐましい労力の結晶……!!本当に本当にお疲れ様です……!泣


 

展示の配置が絶妙

 

ここで筆者が注目したのはケースの中に並んでいる犀星の初版本。右から『性に眼覚める頃』、『抒情小曲集』、『愛の詩集』、『神々のへど』…これはどこかで見たような……?

 

ま、まさか………朔くんの部屋と同じ並び…?!Oさんに聞くと、「そうなんです!!」とのこと。やっぱり!!!!!

 

第2話で朔くんの部屋にずらりと並べてあります室生犀星の作品たち、これと同じ並びなんですよーーーー!!!!(※単行本1巻第2話101ページ1コマ目)見つけた瞬間大興奮しました。

 

「途方もない作業をいかに楽しくするかも大事で、こういう部分にも気づいてもらえると嬉しいですね」とOさんは話す。よく見てみると、例えば三好達治『測量船』の隣に萩原朔太郎の『氷島』が置かれており、ミヨシくんと朔くんの諍いを想起させる。

 

また、秀逸なのは14話の出力原画の展示ブース。犀がハルコに「前に教えた動物の詩集/最初はこんな詩なんだ」と言い、『動物詩集』の序詞を読むシーン。そのページの隣には、実際に『動物詩集』の初刊本が置かれていた。このように、ひとつひとつの展示物の配置にストーリー性があるのが見どころである。

 

最も印象的だったのは、折口春洋の短歌軸にまつわるエピソードだ。『月に吠えらんねえ』では「はるみくん」としてお馴染みの折口春洋。今回初めて、春洋が硫黄島に出兵する前に書かれたという短歌軸が公開されている。ここでOさんから、短歌軸の公開に至るまでの経緯が語られた。

 

この場で筆者が詳細を語るのは相応しくないと思うので割愛するが、短歌軸の所有者の方には大変な葛藤があったこと、Oさんをはじめ石川近代文学館の方々の真摯な熱意が今回の公開に繋がったことが明かされた。そのひとつひとつの思いの深さに涙する来場者も少なくなかった。

 

 

このようにギャラリートークでは、1時間強たっぷり展示に関わるエピソードが紹介された。作品や作家たち、それらに関わる多くの人の感情をより活き活きしたものとしてぐっと立体的に感じるきっかけとなる贅沢な時間だった。(取材・文 ささ山もも子)

※後編に続く

 

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