【第一回文学フリマ前橋レポ】地元の詩人、作家、朔太郎研究会などが参加!

前橋出身の方たちのブースがたくさん

 

「眠る犬小屋」さんのブースが販売していたのは、全国の郷土の妖怪が登場するライトノベル。著者の青砥十(あおとみつる)さんは、これまで東京はもちろん、大阪や京都の文フリにも出店してきた常連だ。

 

「前橋は水がきれいで料理もおいしい。人にとってすべての源がある。この環境を永遠に維持してほしいですね」

 

高校まで前橋で過ごし、現在は奈良に在住の青砥さんは、前橋の魅力をそう語ってくれた。

 

 

 

地元出身の写真家・阿部勇一さんは、1984年に解体された旧前橋駅舎の、最後の数年間を記録した写真集を販売。かつての前橋駅のレトロな佇まいは、当時を知らなくてもどこか懐かしさを覚える。

 

「昔の前橋駅は本当にいい駅でした。今でも懐かしく思いますよ。当時を知っているのは、僕より年上の人くらいでしょうね」

 

阿部さんはしみじみと振り返る。時代とともに移り変わる風景の記憶は、誰しもが共通体験として持っている。だからこそ、心を打つ普遍性があるのかもしれない。

 


 

県外からはるばるやって来た方々も

 

ここまで紹介したのは前橋にゆかりのある出店者たち。けれど、それ以外の場所からも、たくさんの方々がブースを出していた。その一つが、小説投稿サイト「エブリスタ」さんだ。「エブリスタ」が提供している「文学フリマ×エブリスタ 立ち読みカタログ」は、文学フリマ参加者おなじみのルーツ。さらにはエブリスタとしてのブース出展も行っている。これまで東京をはじめ、京都や金沢での文フリにも参加した。

 

「文フリの会場では、エブリスタに投稿してくださっている方や、読者の方と会えることが多い。普段は顔が見えないが、直接会って話をできる素敵な機会。また文フリや立ち読みカタログをきっかけに、エブリスタに興味を持ってくださる方もいます」

 

投稿者や読者と直に向き合い、交流を通じて「エブリスタ」を広めていくその姿勢、なんて真摯なのだろう。これからも多くの作家を輩出してください!

 

 

 

「クルミド出版」さんは、カフェ「クルミドコーヒー(東京・西国分寺)」から誕生した出版社。カフェ経営を通じて表現の可能性を考えていたという店主が、お客さんである二人の女性を著者に迎え、出版事業を設立した。カフェで提供しているこだわり抜いたコーヒーのように、手間を惜しまず、心を込めて作り上げた本が並んでいた。

 

「文フリでは、気軽に本を手に取ってもらえるし、私たちもお客様の顔を見て本を届けられる。著者や文フリを応援したいし、これからも出店していきたいです」

 

 

 

朔太郎は文フリに出ていたか!?

 

約800ブースも出店する文学フリマ東京(第24回)と比較すると、規模は小さいものの、「お客さんと出店者の距離が近い」「ゆっくり作品を見たり、出店者と会話したりできる」という声がたくさんあった。地方ならではのメリットだろう。県外からの参加者も多く、前橋や朔太郎を知っていただくいい機会にもなったのではないだろうか。

 

そういえば萩原朔太郎も、室生犀星と一緒に「感情」という同人誌を作っていた。もし朔太郎が現代に生きていて、文フリ前橋のことを知ったら、出店していたのかな。犀星と並んで店番をして、芥川龍之介や堀辰雄なんかがはるばる冷やかしに来たりして。そんな空想をしたところで、レポートを締めくくらせていただきます。

 

最後に宣言を。第二回文フリ前橋が開催されたら、次回は我々月に吠える、ぜひ出店者として参加したいと思います!! その際は皆さま、ぜひ遊びにいらしてくださいませ。(取材・文 コエヌマカズユキ)