【第4回】逢いたい見たさは恋の咎 見たい気持ちは抑えられない! ~源氏物語大好きライターの平安コラム~

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※前回の記事はこちら

 

日本が誇る平安文学『源氏物語』からの引用を中心に平安時代の恋愛アレコレを解説する本コラム、今回のテーマは“相手の容姿を確かめる方法”です。

 

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皆さんは友達に「知り合いが彼氏(彼女)募集中なんだけど、どう?」って言われたら、どうします? とりあえず「写真見せて」って言うんじゃないでしょうか。写メやSNS、今は色々ありますもんね。しかし平安人にそんな選択肢はありませんから、何の芸もないようですけど、堂々と(?)覗きに行きました。

 

「垣間見(かいまみ)」と言って、基本的に男性が女性を覗きに行きましたが、この時代の貴族の女性は扇や着物の袖で顔を隠しています。お付きの人間も周囲を用心深く見守っており、そう簡単に顔を拝むことはできません。

 

……でも、厳重にガードされればされるほど燃え上がるのが男心。それではここで、偶然の垣間見がスキャンダラスな事件へと発展する火種となったシーンをどうぞ。

 

 

猫は、まだよく人にもなつかぬにや、綱いと長くつきたりけるを、物にひきかけまつはれにけるを、逃げむとひこじろふほどに、御簾のそばいとあらはに引き上げられたるをとみに引きなほす人もなし。

 

(意訳:猫はまだよく人になついていないようで逃げ惑う。つながれていたヒモを物にひっかけ引っ張った拍子に御簾の端を引き開けてしまい、中が丸見えになってしまったが、誰もすぐには気付かない)

 

猫が暴れた拍子に紐が御簾(カーテンみたいなもの)にひっかかって捲れ上がり、屋敷の中が丸見えに。中にいたのは女三の宮(おんなさんのみや)という、光源氏が遅くにもらった若い嫁。本来なら絶対に見ることのできないその姿を目撃してしまったのは、外で蹴鞠(けまり)(※サッカーのリフティングに似た感じの遊び)に興じていた柏木(かしわぎ)という青年でした。

 

実はこの柏木、女三の宮を自分の妻にと希望していたのに諸々の事情でその願いは叶わなかったのでした。一方、光源氏は昔からいる他の妻ばかり大事にし、この新妻を蔑ろにしているとの噂。

 

自分の方が女三の宮を幸せにできるのに……と悶々としていたタイミングで偶然にも女三の宮を垣間見てしまった柏木は、この後なんとも大胆な行動に出てしまうのでした。次回へ続く!

 

※『源氏物語』の原文は新編日本古典文学全集『源氏物語』(小学館)のものを使用しました。

 

著者:村上杏菜
イベントコンパニオンをしながら編集・ライターを行う二足のわらじライター。源氏物語を語らせたら止まらない。コラムの感想・質問・その他ご連絡はコチラまで→annapon1984☆yahoo.co.jp ※☆を@に変更ください