【第3回】恋は焦らず 歌で思いを伝え合う ~源氏物語大好きライターの平安コラム~

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※前回の記事はこちら

 

日本が誇る平安文学『源氏物語』からの引用を中心に平安時代の恋愛アレコレを解説する本コラム、今回のテーマは男女の恋愛に欠かせない「和歌」。

 

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前回ご紹介したように、婚期を迎えたお姫様の噂をばらまくのは家族や女房(召使い的役割の女性)たち。(本当かどうかは別として)美しく魅力的な女性がいると聞きつけた男性貴族の心は浮足立ちます。アピールの方法として挙げられるのは、何はともあれまずはテッパンの「和歌」。

 

恋文としてしたためて贈ることもあれば、その場で詠み合うこともあり、男女間だけでなく同性同士、家族間でもやりとりされるコミュニケーションツールだった和歌。今で言うメールやLINEみたいな感覚でしょうか。和歌が詠めることはこの時代の貴族として最低限のたしなみで、上手な和歌は教養の高さと知性の象徴でした。

 

ちなみに前回登場した末摘花(すえつむはな)(関係を持ってみたら不細工だったお姫様)にアプローチする時に源氏の君が詠んだ和歌はこちら。

 

 

いくそたび 君がしじまに 負けぬらんものな言ひそといわぬたのみに

(意訳:あなたの無言の返事に何度くじけたことでしょうか、「ものを言うな」とも言われないことをせめてもの頼りにしてきましたが……)

 

とにかく返事がなく、声も聞かせてくれない末摘花。この辺りで源氏はこの姫が変わり者だと気付くべきだったでしょうに、勘違いしてますます燃え上がってしまった結果は前回ご紹介した通り。

 

……それにしても歌で思いを伝え合うなんてなかなか風流じゃありませんか? 一夫多妻制のこの時代、女性は嫉妬の思いを伝える時にも歌を詠んで遠回しにその気持ちを伝えていたよう。

 

特に女性の場合、おっとりのんびり振舞うことが美徳とされましたから、直接的なことは品がないわけです。現代人の感覚としてはちょっともどかしい感じもしますが、何事にもゆっくりと時間をかけ、趣向をこらすことが尊ばれていたんですね。

 

そういえば現代においても時間と手間をかけることがちょっとお洒落だとか贅沢だとかいう感覚はありますし、女性の振舞い方にしても「動作を一つひとつ丁寧に行う」ことで品良く見せるというノウハウは有効です。

 

読者の女性のみなさんも、意中の男性や彼氏に自分の希望や思いを伝える時、平安女性にならってちょっと遠回しな婉曲表現で可愛く伝えてみると、ダイレクト表現に慣れている現代男性には意外と効果的かもしれませんよ!?

 

※第4回はこちら

※『源氏物語』の原文は新編日本古典文学全集『源氏物語』(小学館)のものを使用しました。

 

著者:村上杏菜
イベントコンパニオンをしながら編集・ライターを行う二足のわらじライター。源氏物語を語らせたら止まらない。コラムの感想・質問・その他ご連絡はコチラまで→annapon1984☆yahoo.co.jp ※☆を@に変更ください