【2/3】「第一回 月に吠える文学賞」大賞受賞者・塚本オルガさん 自分たちの電波をガンガン飛ばしていこうぜ、って感じですね

写真:塚本オルガさん2

文芸同人のメンバー大募集

 

―塚本さんが主催されている文芸同人「日本電波党」について教えてください

 

「輝け!日本の暗部!」をキャッチコピーに掲げた最高にクールな文芸同人です(ちなみに、「文芸同人」という単語には「インディーズ・パンク・バンド」というルビを振っています)。2012年に立ち上げました。

 

この年に、ある文学賞に初めて小説を応募したんです。私は既にその時点で「これは評価されるだろ」と思い込んで躁状態になってたんですね。小説はずっと書いていたけれど、中編を仕上げたのは初めてだったのでテンション上がっちゃったんです。

 

で、もう文学賞の結果をじっと待ってることなんて出来なくなって。とにかく今すぐ、もっと行動したかったんです。それで、「日本電波党」を始動しました。

 

それまで私は「文芸同人」という言葉を国語の教科書の中でしか見たことがなかったので、とっくに絶滅したものだろうとばかり思っていたんです。白樺派(※)とか。だから「文芸同人」が、今の世の中にあったら面白いんじゃないかって思ったのもあるんですよね。「このご時世にまだあるの!?」みたいな。

 

ただ、始めてから知ったんですけど、文芸同人って結構あるんですよね。文学フリマってイベントがあったりしますし、私が世の中を知らなかっただけでした(笑)。普段の一人称も「我輩」に変えたのに……。

 

※近代日本最大の文芸同人誌。1910年~1923年にかけて160冊が刊行された。武者小路実篤、志賀直哉、里見トン、柳宗悦、郡虎彦、有島武郎、有島生馬などが創刊に関わった。

 

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 ―日本電波党の名前の由来は何ですか?

 

「小説を書きたい!発信したい!」って燃え上がったときに、頭の中に東京タワーのイメージが浮かんだんです。東京タワーの正式名称って「日本電波塔」っていうんですけど、その語感と印象から名前をとりました。東京タワーが好きだし、赤い色が情熱的でいいなって思って。

 

あと秘密基地的な感じにしたくて付けたんです。東京タワーの地下にはフリーメーソンの日本総本部があるって言いますし。地下で怪しいことしてるのに、あんなに堂々と……地上333mも平気な顔して立っているなんて……東京タワーって大胆!みたいな畏怖と可笑しさを感じたんですよね。

 

まあ、名前はイメージ先行なんです。まわりからは「オルガちゃんのやることはいつも感覚的過ぎてよく分からない」って言われるんですが、「日本電波党」というどこか怪しくて、アングラな側面も匂わせる響きはいいなあと思って。

 

そして、いつか東京タワーのようにメジャーな存在になりたい!という願いも込めて。自分たちの電波をガンガン飛ばしていこうぜ、って感じですね。

 

同人をやろうと思ったのは、小説ってひとりの世界に閉じこもって書くところがあるから、うっぷんがたまっちゃうんですよ。そのストレスを発散したかったんです。文句も弱音も吐きたいですしね。まあ私はひとりでも気にせず吐いてはいたんですが……。

 

それだけじゃなく、もちろん楽しいことも共有したいですし。小説もみんなと書けるよ、楽しい感じでやれるよ、っていう集団を作りたかったんです。

 

―WEBサイトでは作品も公開していますよね?

 

今は一作だけなんですけどね。写真をやっている党員の作品も少しですが載っていますよ。「文芸同人」としてはもちろん核になるのは小説ですけど、基本的には面白いことなら何でもしていきたいです。音楽活動だったり、動画を撮ったりとか、そういう活動もしたいですね。カフェでおしゃべりもしたいですし。飲みにも行きたいですよ。

 

「それ、文芸と関係ねーだろ」って感じもしますが、すべてのことは小説につながってると思ってるので、面白ければなんでもOKなんです。面白かったら、書きたくなりますもん。

 

でも、やろうにもやってくれる人がなかなかいないので、メンバー募集中です。ただし私が気に入った人しか嫌ですけど。

 

心の中には悪意やイライラしかない

 

―ところで、塚本さんのツイッターは過激な内容が満載ですが、何か意図はあるんですか?

 

日常生活のことを書いているだけです。例えば疲れたって思ったとき、その疲労の度合いによって、比喩を使いますよね?「泥のように疲れた」とか「血反吐を吐くほど疲れた」とか。その表現が偏っちゃうっていうか、さわやかにならないだけです。

 

「第一回月に吠える文学賞」で大賞を獲っても、フォロワーが一人も増えませんでしたからね。なんて影響力のない賞なんだろうと思いました。まあ、本当は多分、みんな怖がって近寄らないんじゃないかなぁと思っています。君子危きに近寄らずというか……。

 

私ならああいうツイートをする人とは関わりたくないですもん。でも、ツイッターをフォローしてもらえたら嬉しいですよ。「しあわせストーカー日記」の感想も聞かせてもらえたり、つぶやいてもらえたりしたらありがたいです。

 

塚本オルガさんTwitter

 

―実際にあのようなぶっ飛んだ性格なんですか?

いえいえ、おとなしい性格ですね。内気ですし。躁鬱は激しいですけど、心優しくて、すごくいい子ですよ。

 

―……

 

私の解釈では、「性格の良さ」というのは理性の強さだと思うんです。基本的に私は、心の中には悪意やイライラしかないんですけど、それを表に出していたら社会生活を送れないじゃないですか。そういうネガティブな感情を抑える理性を常に働かせているので、私は性格が良いなって思うんです。

 

(その3へ続く)